【給与の基礎知識】給与とは?給料との違い・種類・形態を解説

会社を経営する人にとって、給与に関する知識は必ず身に付けておくべきものの1つです。しかし給与には、意外と知らない種類や形態があります。例えば給与と給料の違いは、意外と知らない人の多い知識です。

そこで今日は、給与にまつわる基礎知識をお伝えします。給与と給料の違いや、給与の種類、形態などを分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

給与とは?給料との違いは?

まずは給与について、定義を解説します。

 

給与とは、給料や賞与といった勤務(労働)に対する対価の総称です。労働基準法では「賃金」、健康保険法では「報酬」と呼びます。

給与と給料の違い

給料とは、いわゆる「基本給」を指す言葉です。

 

給与には賞与や各種の手当を含みますが、給料には含みません。

 

 

給与は通貨で支払うのが原則

労働基準法では「給与は通貨で支払わなければいけない」と定めており、本人の同意なく口座へ振り込むことはできません。

 

もし振り込みで支給する場合は、次の条件を全て満たす必要があります。

  • 振り込みで支給することに従業員が同意している
  • 従業員本人の口座へ振り込む
  • 給料日の午前10時頃には給与の全額を引き出せる

ただし場合によっては、現物支給も給与の一部となり得ます。

 

例えば自社の製品や公共交通機関の定期券など、換金性がある物は現物支給として認められやすい物の一例です。

 

とはいえ給与を現物支給する場合には、労働組合と労働協定を結ぶ必要があります。つまり、労働組合がない会社では給与の現物支給を認められないのです。

 

労働組合を持っていない会社が給与の代わりに現物を支給すると労働基準法違反になりますので、くれぐれも注意してくださいね。

 

 

給与の種類は大きく分けて2つ

続いて解説するのは、給与の種類です。

 

給与には、大きく分けて2つの種類があります。

 

その種類が、こちらです。

 

  1. 基準内給与
  2. 基準外給与

 

それぞれの給与について、内容を詳しく解説します。

給与の種類1.基準内給与

基準内給与とは、いわゆる「固定給(※)」と呼ばれる給与です。

※固定給とは……業績や勤務時間によって支給額が変動しない給与のこと

 

さらに基準内給与を分類すると、次の2つに分けられます。

 

  1. 基本給
  2. 諸手当

 

では、それぞれの内容についても詳しく見てみましょう。

「基準内給与」その1.基本給とは

基本給とは、その名の通り毎月の基本となる給料のこと。

基本給は「属人給」と「仕事給」の2種類を組み合わせて決めるのが一般的です(※)。

 

※属人給とは……年齢や勤続年数によって決まる部分

※仕事給とは……仕事内容や本人の能力によって決まる部分

「基準外給与」その2.諸手当とは

続いて、諸手当の内容をご紹介します。

 

諸手当とは、その名の通りさまざまな手当を指す言葉。

諸手当の種類は企業によって異なりますが、代表的なのは次の7種類です。

 

  1. 役職手当、役付き手当
  2. 資格手当、技能手当
  3. 家族手当
  4. 住宅手当、住宅補助
  5. 皆勤手当、精勤手当
  6. 通勤手当
  7. 作業手当、特殊勤務手当

給与の種類2.基準外給与

続いて、基準外給与の内容を解説します。

 

基準外給与とは、いわゆる「固定給」以外の部分を指す言葉。通常の勤務時間以外に働いた場合は、基準外給与を支給します。

 

基準外給与の代表的な種類は、次の4つです。

 

  1. 時間外手当
  2. 休日手当
  3. 深夜手当
  4. 宿日直手当

 

なお労働時間が1日8時間または週40時間を超えた場合、通常の給料に加えて25%の割増賃金を支払わなければいけません。これが、いわゆる残業代(時間外手当)です。

 

また法定休日に出勤させた場合には休日労働の割増賃金が、深夜に労働させた場合には深夜労働の割増賃金が発生します。割増賃金の割合は休日労働が35%、深夜労働が25%です。

割増賃金とは?月給→時給に置き換える計算方法を詳しく解説

 

労働時間について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

労働時間とは?経営者が知っておくべき労働時間に関する基礎知識

 

給与の形態は基準となるものによって異なる

最後に、給与の形態を解説します。

 

給与の形態は、大きく分けて次の2つです。

 

  1. 期間を基準に決める形態
  2. 成果を基準に決める形態

 

期間を基準に決める給与形態とは、

  • 月給制
  • 日給制
  • 時間給制
  • 年俸制

などを指します。

 

こういった形態は、主に日本企業で取り入れているのが特徴です。

 

一方、成果を基準に決める給与形態とは、

  • 出来高給性
  • 歩合給制
  • 業績給制

などのことを指します。

 

これらの形態は、主に外資系の企業で取り入れているのが特徴です。

日本には2つの形態が合体しているケースもある

給与の形態は大きく分けると2つありますが、日本では2つの形態をどちらも取り入れている企業が少なくありません。

 

例えば社員の業績によって個々の賞与額が上下したり、基本給とは別に報奨金(インセンティブ)を支給したりする企業は、両方の給与形態を取り入れているといえるでしょう。

 

こういった給与形態は、一般的に「固定給+歩合制」や「固定給+インセンティブ」などと表記します。特に営業職では珍しくない給与形態ですので、人事や労務のお仕事に携わる人は覚えておくとよいですよ。

 

 

まとめ

今日は、給与にまつわる基礎知識をお伝えしました。

一口に「給与」といっても、給与計算に必要な知識は思いのほか多いものです。とはいえ1つ1つの知識は、そう難しいものではありません。しっかり学べば誰でもきちんと身に付けられますので、ぜひじっくりと知識を蓄えていってくださいね。