金融機関へ振込手数料を支払ったときにインボイスは必要?

金融機関を使って取引先などに支払いをする際には、通常、振込手数料がかかります。振込手数料は通常は数百円程度の少額です。インボイス制度(適格請求書等保存方式)の下では、このような少額の取引でも、仕入税額控除を行うにはインボイスの保存が必要なのでしょうか?今回は振込手数料を支払ったときのインボイスについて解説します。

 

金融機関に支払う振込手数料は「課税取引」に該当する

金融機関で取引先などに支払いをする場合には、通常、振込手数料がかかります。この振込手数料に消費税はかかるのでしょうか?

この点、国内で送金する場合にかかる振込手数料は、消費税の「課税取引」となります。一方で、海外送金の際にかかる振込手数料には消費税はかかりません。

 

仕入税額控除をするには原則インボイスの保存が必要

先ほど説明したように、振込手数料は、消費税の「課税取引」です。インボイス制度(適格請求書等保存方式)の下において、消費税を支払った事業者が仕入税額控除をするためには原則としてインボイスが必要とされています。

振込手数料は、通常、数百円といった少額の取引となりますが、このような場合でもインボイスは必要になるのでしょうか?

まず、原則的な取扱いについて解説します。原則的な取扱いは振込手数料を支払った場面によって異なります。

①金融機関窓口で振込手数料を支払ったとき

金融機関窓口で支払った振込手数料について、仕入税額控除をするためには、原則どおりインボイスが必要となります。金融機関窓口で交付されたインボイスを保存しておくようにしましょう。

②ATMで振込手数料を支払っとき

ATMで支払った3万円未満の振込手数料については、自動販売機特例(自販機特例)の対象となり、インボイスの交付義務が免除されます。インボイスが交付されないため、一定の事項を帳簿に記載することを要件として、インボイスがなくても仕入税額控除を行うことができます。

振込手数料は通常3万円未満ですから、この自販機特例を適用し、インボイスの保存なしに仕入税額控除を行うことができます。この場合、帳簿に次の事項を記載する必要があります。

(1)特例対象である旨の記載

(2)仕入れの相手方の住所または所在地

ATMで振込手数料を支払った場合の帳簿への記載例は次のようになります。

(例)自動販売機特例 ○○銀行××支店ATM

仕訳を切る際の摘要欄に記載しておきましょう。

③インターネットバンキングで振込手数料を支払ったとき

インターネットバンキングを使って振込をして、振込手数料を支払うことがあります。この場合は自販機特例の対象とはなりませんから、仕入税額控除をするためには、原則どおりインボイスが必要となります。

そのため、インターネットバンキングからインボイスをダウンロードし、保存しておくようにしましょう。なお、金融機関によっては、後日、一定期間の間に支払った手数料をまとめた「手数料計算書」などの書類が送付されてくることがあります。この書類にインボイスに必要な記載事項の記載がされている場合は、「手数料計算書」などの書類をインボイスとして取扱うことができます。

 

小規模事業者はインボイス不要の経過措置あり(少額特例)

次の要件にあてはまる一定の小規模の事業者には、2023年10月1日から2029年9月30日までの間、税込1万円未満の取引について、インボイスがなくても、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除をすることができるという特例(少額特例)が設けられています。

少額特例の適用対象となる一定の小規模事業者とは、次の①と②のどちらかに該当する事業者です。

①基準期間における課税売上高が1億円以下

②特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者

基準期間とは、個人事業者の場合はその年の前々年、法人の場合はその事業年度の前々事業年度をいいます。特定期間とは、個人事業者の場合はその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人の場合はその事業年度の前事業年度開始の日以後6か月間をいいます。新設法人の基準期間のない課税期間は、特定期間の課税売上高が5千万円超となった場合であっても、当該課税期間については、少額特例の適用が可能です。

金融機関の振込手数料は通常1万円未満であるため、小規模事業者の場合は、インボイスの保存がなくても仕入税額控除をすることができます。なお、少額特例の適用にあたって、事前の税務署等への届出は必要ありません。

少額特例について詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。

小規模事業者は1万円未満の取引のインボイス保存不要!少額特例とは?

 

まとめ

インボイス制度の下で振込手数料を支払ったときにインボイスの保存が必要かどうかについて解説しました。小規模事業者に該当しない場合は、インボイスを保存するか、ATM等の場合は帳簿への一定事項の記載が要件となります。問題のないように、正しい処理を確認しておきましょう。なお、電子データの場合は電子帳簿保存法も関係してくるため注意しましょう。