創業融資の面談を成功させるためのポイントを解説!

創業融資の審査においては、必ず融資担当者との面談が行われます。
しかし、これまで融資の経験がない方には「失敗するのではないか?」、「余計なことを話したらどうしよう?」などと不安になる方も少なくありません。

確かに、面談の結果は審査に大きな影響を与えるため、軽視するのは禁物ですが、かといって過度に不安になる必要もありません。

この記事では、日本政策金融公庫における面談をテーマとして、面談で聞かれることや注意点、模範的な回答方法などについて解説いたします。

 

創業融資の審査ではなぜ面談が重要になるのか?

創業者には事業の経験や実績がないため、通常の融資のように決算書から企業の状況や売上げの見込みを確認することができません。

そのため、金融機関では、これに代わって事業計画書の提出や、面談をすることで経営者の意欲や事業の見込みを判断しています。

このように、金融機関においては、面談は事業計画書とならんで事業の予測をする上での重要な判断材料といえます。

審査の際には、事業計画書からは創業の動機や意思、過去の経歴、売上げの見込みなどを確認しますが、面談では、主に人物の人柄や事業に対する理解度などを確認しています。

なお、面談で聞かれることは事業の基本的な内容がほとんどのため、自己資金の内容に問題がある場合や、事業計画書に書かれていることが答えられないようなときには、評価も下がることとなります。

 

融資面談の流れについて

通常の面談は、以下のような流れで行われます。

①日時の調整

融資の申込みをしてから1週間~2週間程度後に、面談の日程に関する連絡が来ます。
この際には何日かの候補日から選ぶこととなりますが、自分の希望があればそれを伝えて構いません。

面談の際、一般的には次のような資料が必要となります。

<融資面談で通常必要となる資料>

・ 自己資金の入金された通帳
・ 事務所の賃貸借契約書
・ 家賃や公共料金が自動引き落としとなっていない場合には、その領収書
・ 会社のパンフレット、製品の見本や写真がある場合にはそれらの資料
・ 納税証明書(必要に応じて)
・ 許認可が必要な業種では許可証等のコピー
・ 他からの借入れがある場合には、その返済予定表
・ 事業計画書

なお、必要な書類については面談の日程調整の際などに教えてくれますから、面談時に忘れないように準備しましょう。

②面談の実施

日時が確定できたら指定の場所で面談を行います。
面談の場所は、金融機関で行われる場合の他、申請者の事務所で行われることもあります。

また、面談時には1~2人の融資担当者が同席しますが、制度融資の場合にはこれ以外に信用保証協会の人間が同席することもあります。

なお、面談にかかる時間は、通常30分〜40分程度ですが、内容に問題があるような場合や、事業プランが複雑な場合などでは1時間以上の時間をかけて行われることもあります。

 

 

融資面談への臨む方、面談時の注意点

融資担当者との面談の際では、以下の点について十分な対応をこころがけることをおすすめします。

面談での対応は、姿勢や挙動にも注意する

融資面談では、応対時の態度なども審査の対象となります。そのため、受け応えはできるだけ誠実に、歯切れよく行いましょう。

とはいえ、採用面接のように、人物を厳しく批判的に見て、見極めようとするというようなものではありません。

お金を貸していい誠実な相手かどうか事業を成功させるための能力を持っているかといったことを見られものです。

中には面談中にずっとうつむいていたり、きょろきょろと視線の定まらない方がいますが、このような態度は誠実さを感じないだけでなく、「本当に事業を成功させることができるのか?」「何かやましいことがあるのでは?」と勘繰られる元となりますので、しっかりと相手を見て対応するようにしましょう。
逆に威勢を張っている、強気な態度で臨むなどというのも、「横柄な性格である」や「誇張している」などと誠実性に問題があるととられやすいため注意してください。

 

質問に対しては的確に答え、できるだけ余計な話はしない

融資の面談の際に、事業に関係ないことやプライベートな話題ばかりをする人がいます。コミュニケーションとして適切な範囲であれば全く問題ないのですが、担当者は限られた時間の中で面談をしているので、一方的にこのような話をする場合は、相手に迷惑となり、印象を悪くする可能性もあります。相手の反応をしっかりと見ながら、話をするようにしてください。

また、金融機関の人間は一見無駄話と思われることからも、相手の性格や事業に関する情報をしっかりと読み取っており、話の内容に不審な点や矛盾があると敏感にそれを察知し、そこを追及されたりすることもあります。

余計な話は迷惑となるだけでなく、場合によっては墓穴を掘ることともなりかねないため、面談では聞かれたことを誠実に、手際よく伝えるようにするのが無難です。

 

今後の目標や計画などを熱く語りすぎないようにする

創業する場合に、その人にどれだけ事業に対する熱意があるかということは、事業の成否にかかわる重要なポイントとなります。しかし、面談であまりこれからの目標や計画を熱く語るというのは、おすすめできません。

面談では、「夢」よりも「事業をどう成功させるか」を具体的に説明することが大切です。

なぜなら、融資担当者にとって最も重要なことは「この人に貸したお金が返ってくるかどうか?」だからです。

中には、「まだ計画にない2店舗目の準備を含めた資金を融資してほしい」などという方もいますが、当然、このような話は認められませんし、逆に悪印象となります。
したがって、いつできるかわからない将来の話よりも、目の前の課題にどう向き合うかや、計画の内容をどのようにとらえているのかといった内容を軸に答える方がより好印象となります。

 

自分の過去の経験や経歴を使って説明する

面談での説明の際には、自分の過去の経験や経歴などを絡めた事例などで説明をすると、より説得力のある伝え方となります。
例えば「以前から洋菓子に興味があったため、技術を習得するために専門学校に通いましたが、その時の経験では~」や「マーケティングのため対象となる〇〇県に出向き、文化や人の考え方について学びました。その結果わかったこととしては~」などのように、事業を成功させるためにどんな努力や準備したかを含めて考えを伝えるようにすると高い評価になりやすいといえます。

 

どんな準備をしているかを理解してもらう

開業に向けてどんな準備をしたかは、大きなポイントとなります。これにより申込人がどれだけ真剣に事業に取り組んでいるのかを測ることができるだけでなく、どこまで準備ができているかはその後の事業の成功にも影響するととらえているからです。

たとえば、テナントの契約や資材の購入が済んでいる、メニューの発注をしているなどの具体的な行為がある場合には、事業に対する熱意があると認めてもらいやすくなります。
とくに、準備の段階である程度の自己資金を使って準備をしているような場合には、本気度が高いと評価されやすくなります。

これとは反対に、自分では何の準備や支払いもせずに、かかる経費のすべてを融資で賄おうとする姿勢は、すべて融資頼みという印象を与えるため悪印象となります。

 

 

融資面談で絶対にやってはいけない3つのこと

金融機関との面談の際に、絶対にやってはいけないことがあります。これを守らない場合には、融資の審査が通らない可能性も出てきますから、注意しましょう。

①融資担当者と口論をしない

融資担当者の中には様々なタイプの方がいるため、運が悪いと意地悪な人にあたってしまうこともあります。

たとえば、「本当にこの程度の経験で開業するつもりですか?」や「この事業計画書のとおりに進められると思う、具体的な根拠は何ですか?」などのすぐに答えづらい質問をされることもあります。

しかし、そのような場合でも担当者と口論やケンカなどをするのは、絶対NGです。
理由はどうあれ、このようなことをしてしまうとほぼ間違いなく審査で落とされることとなります。

このような場合は、
「実際の経験年数は短いですが、その間、書籍で勉強したり、競合店を〇ヶ所回って、自社との違いやアイデアについて調査してきました。」や
「すべて事業計画通りに進むとは考えていませんが、売上げが予想以上に下ぶれた場合には、実店舗からネット販売への切り替えや従業員をなくして自分だけで経営するなどにより、経費削減を考えています。」
などのように、明確に回答できるようにしておきたいものです。

 

②面接時の外見や言葉遣いに注意、面談相手に不快感を与えない

融資の面談では、経営に関することだけでなく、申込人の人柄や性格なども重視されます。

そのため、服装や装飾品に高価なものをつけていく、高級車で乗りつける、言葉遣いがなれなれしいなどの態度は「金遣いが荒い」、「金銭感覚がおかしい」、「TPOがわからない」などと判断され、マイナス評価の要因となります。

また、約束した時間の遅れるなども「時間にルーズな人」という印象を与えるので、できるだけ早めに到着するようにし、もし、遅れる場合には事前に連絡を入れるといった常識的な対応が求められます。

なお、よくあるケースとして、担当官からの感想やコメントにいちいち反論するような人がいますが、これは何の得にもならないだけでなく、相手の印象を悪くするだけです。
もし、相手に明らかな間違いがあるや補足の説明が必要な場合を除いて、担当者の発言は素直に受け止めるという姿勢が必要です。

面談時の服装については、わざわざスーツを着る必要まではありませんが、職業柄にあった清潔でさっぱりとした服装で望んだ方がよいでしょう。

 

③事業計画書の内容は完全に理解しておく

面談での質問は、基本的に事業計画書の内容に沿って行われます。
そのため、事業計画書を自分で作ったのなら、答えられる内容が中心となります。

しかし、「創業の動機や方向性が事業計画書に書かれたものと違う」、「売上や経費の額や内容を答えられない」などといった場合には、「自分で作った計画ではないのでは?」と疑われてしまうこととなります。

また、「短期間で何度も本店を移転している」、「事務所が住居用の契約となっている」、「資本金の出所を明確に答えられない」などの場合には、かなり詳しく聞かれることとなるため、不信感をいだかせることは事前になくしておく、基本的な項目については答えられるようにしておくといった対策が必要です。

 

まとめ

創業融資を受けるときの面談の流れや面談時のポイントについて解説しました。面談が融資の審査に影響を与える可能性もありますから、しっかりと準備をして臨むようにしましょう。