求人募集は人事の代表的なお仕事ですが、個人事業主や中小企業の社長であれば自ら求人募集をすることもあるでしょう。
そこで、今日は求人募集にまつわる3つのルールをご紹介します。どれも法律に基づくルールですので「知らなかった」は通りません。求人募集にまつわる仕事をしている人は、ぜひ覚えておいてくださいね。
求人募集に関する3つの法律とルール
では早速、求人募集に関するルールを法律別に3つご紹介します。
その1.雇用対策法:年齢制限をしてはいけない
まず紹介するのは、年齢にまつわるルールです。
法律により、年齢を制限しての求人募集は禁止されています(雇用対策法)。
例えば、こんな明記はNGです。
- 応募資格○歳以下
- 高校生は不可
- 若い方を優遇します
ただし、例外的に年齢制限をしてもいいケースもいくつかあります。
具体的には、こんなケースです。
- 定年が75歳 → 75歳未満の人材を募集する
- 警備業 → 18歳以上の人材を募集する
(警備業法により「警備業で働けるのは18歳以上のみ」と決まっているため) - 電気通信技術者として働くスタッフのうち「30~35歳」の人数が「他の年齢層」の半分以下 → 電気通信技術者として30~35歳の人材を募集する
(技能やノウハウの継承が必要となる職種において特定の年齢層が他の年齢層に比べて極端に少ない場合は例外が認められるため) - 演劇の子役が必要 → 10歳未満の人材を募集する
例外となるケースは、この他にあと3つあります。詳しく知りたい方は、こちらの資料を参考にしてみてください。▷『その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?(PDF)|厚生労働省』
例外となるケースは条件が細かく決まっているため、求人募集をする際は安易に年齢制限を設けないよう注意が必要です。
その2.男女雇用機会均等法:性別による差別をしてはいけない
2つ目のルールは、性別による差別をしてはいけないことです。
法律により、求人募集において男女の差別をしてはいけないことが定められています(男女雇用機会均等法)。
具体的には、こんな明記はNGです。
- 男性スタッフ募集
- セールスマン募集
- 募集人数:男性○人、女性○人
ただし、特定の職業では例外的に性別による制限が認められます。
例外的に認められるのは、例えば次の職種です。
- 警備スタッフ(男性のみ)
- 女優(女性のみ)
- 巫女(女性のみ)
そしてもう1つ、求人募集を出す場合は表現方法にも注意しなければいけません。
たとえ「男性」や「女性」といった言葉を使わなくても「男性を募集している」や「女性を募集している」と思わせてしまう表現は差別につながります。
いくつか例を挙げると、次の表現はNGです。
- 看護婦
- ウェイトレス
- 営業マン
これらを男女差別に当たらない表現に直すと、こうなります。
- 看護師
- ホールスタッフ
- 営業スタッフ
しかし男女の格差をなくすための取り組みであれば、女性に限定して求人募集をしても法律違反になりません。この措置を、専門用語で「ポジティブ・アクション」と呼びます。
とはいえ求人募集において性別による制限をする場合は、やはり男女雇用機会均等法をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。よく分からないまま安易に制限しないよう、くれぐれも注意してくださいね。
男女雇用機会均等法についてはこちらの記事でも解説しています。
その3.職業安定法:明示すべき労働条件を必ず記載する
続いてご紹介するのは、労働条件の明示に関するルールです。
ハローワークや自社ページで求人募集をする場合は、労働条件を明記することが法律で定められています(職業安定法)。
明記しなければいけない労働条件は、次の12個です。
- 業務内容
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所
- 終業時間
- 休憩時間
- 休日
- 時間外労働
- 賃金
- 加入保険
- 募集者の氏名または名称
- 雇用形態(派遣労働者として雇用する場合)
これらについては、ウソをついたり大げさな表現をしたりせず的確に分かりやすく明記しなければいけません。
またこれらを求職者に明示した後で変更があった場合は、当初の内容と変更後の内容がどう変わったのかを求職者に分かるよう示す必要があります。
とはいえ、明示した労働条件を安易に変更するのはNGです。当初の労働条件からの変更が妥当だと認められない場合には、行政による指導や監督、罰則などの対象となる可能性があります。労働条件とは、求職者にとってそれくらい大切なものなのです。
求人募集をする際の労働条件については、十分に検討してから明記することをオススメします。
まとめ
今日は、求人募集にまつわる3つのルールを法律別にご紹介しました。
法律で定められているということは、知らなかったでは済まされないということ。求人募集を出す前には、それぞれのルールについてしっかりと学んでおくことをオススメします。