固定資産税を支払ったときの仕訳や勘定科目を解説

事業に関連して支払った固定資産税は必要経費に計上することができます。今回は、固定資産税を支払ったときの仕訳や勘定科目、注意点などについて解説します。

 

固定資産税とは?対象となる資産や支払時期など

固定資産税とは?その対象は?

固定資産税とは、土地や家屋、機械装置、器具備品などを毎年1月1日時点で所有する所有者が、その所有する資産の評価に応じて課税される税金のことをいい、その資産がある市町村に対して納めます。一定の市町村の場合は、土地や家屋については固定資産税の他に都市計画税もかかりますが、会計処理は固定資産税と同様です。

機械装置や器具備品など不動産以外にかかる固定資産税のことは「償却資産税」ともいい、固定資産税と分けて使われることがあります。

固定資産税の申告や免税点

土地や家屋の不動産については申告する必要はなく、市町村がその不動産を評価して、税額を決定します。それに対して機械装置や器具備品などの償却資産については、毎年1月31日までに、所有者が1月1日時点で所有する資産を申告し、その申告に基づいて市町村が資産の評価を行い、税額が決定されます。

なお、土地や家屋は事業用でないものも課税対象となりますが、機械装置や器具備品などの償却資産は事業用のもののみが課税対象となります。また、対象となる資産を所有していても評価額が免税点(土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円)未満であるときは、課税されません。

固定資産税の支払時期

固定資産税も償却資産税も通常は6月、9月、12月、2月の年4回(タイミングは市町村によって若干異なる)に分けて支払います。毎年6月頃に各市町村から固定資産税課税通知書と合わせて納付書が送付されてきます。その納付書をもとに支払うこととなります。もちろん一括で支払っても構いません。

償却資産税についてはこちらの記事も参考にしてください。

償却資産税ってどんな税金?申告は必要?

 

固定資産税を必要経費に計上するタイミングと仕例

事業に関して支払った固定資産税は、法人税や所得税の計算にあたって、損金(必要経費)に計上することができます。ではどのタイミングで必要経費とすることができるのでしょうか?

固定資産税は①固定資産税の通知が届いたとき(賦課決定されたとき)②固定資産税を支払ったときのどちらかのタイミングで必要経費に計上することができます。計上する勘定科目は「租税公課」を用いることが一般的です。

 

年間40万円(10万円×4回)の固定資産税課税通知書が届いたときの事例で仕訳を見てみましょう。

①固定資産税の通知が届いたときに経費計上する場合

通知が届いたときに「租税公課」で費用計上し、相手勘定は「未払金」とします。

借方 金額 貸方 金額
租税公課 400,000 未払金 400,000

実際に固定資産税(1回分)を現金で支払ったときには未払金を取崩します。

借方 金額 貸方 金額
未払金 100,000 現金 100,000

なお、一括で支払った場合は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
未払金 400,000 現金 400,000

 

②固定資産税を支払ったときに経費計上する場合

通知が届いたときには仕訳はありません。
実際に支払ったときに「租税公課」で費用計上します。

固定資産税(1回分)を現金で支払ったときの仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
租税公課 100,000 現金 100,000

なお、固定資産税には消費税はかかりません。

税務上はどちらの方法でも問題ありません。しかし、固定資産税は賦課決定された時点で納税の義務が生じていることや支払日は自由に調整できることから、会計上は、①固定資産税の通知が届いたときに経費計上する方法の方がよいとされています。

 

固定資産税に関する会計処理の注意点

固定資産税の会計処理にあたっては次のような点に注意する必要があります。

自宅兼事務所の固定資産税は家事按分が必要

個人事業主が所有する不動産を自宅兼事業所として使用することがあります。

事業所として使用している場合は、その固定資産税を必要経費とすることができますが、自宅としてプライベートで使っている部分があるため、全額を必要経費とすることはできません。この場合は、私用と事業で使用している面積の割合などの合理的な基準で按分して、事業に関わる部分のみを必要経費にしなければなりません。

不動産売買の際の未経過固定資産税(精算金)を支払ったとき

不動産売買の際、例えば、売り主が予め一年間分の固定資産税を支払っている場合に、買い主が売買日以降の期間の固定資産税を売り主に支払うなどして、売り主と買い主の間で、固定資産税相当額(未経過固定資産税)の精算を行うことがあります。

この場合に、買い主が負担した未経過固定資産税は、市町村に直接支払われる固定資産税ではなく、不動産売買代金の一部と考えられています。

そのため、固定資産税として必要経費とすることはできず、土地や建物の取得価額を構成するものとして資産計上する必要があります。家屋の部分に相当する固定資産税の清算金は消費税の課税対象となる可能性がありますから注意してください。

 

まとめ

固定資産税を支払ったときの仕訳や勘定科目、注意点について解説しました。注意点で解説した個人事業主の場合の家事按分や不動産売買の際の未経過固定資産税の取扱いについてはしっかりと押さえておきましょう。