【2025年最新版】インボイス制度とは?仕組みと実務のポイントをわかりやすく解説!

2023年10月から「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が開始されました。開始から時間が経過しましたが、依然として「免税事業者のままで良いのか?」「事務負担を減らす方法はないか?」といった悩みを抱える事業者の方は少なくありません。

本記事では、インボイス制度の基本から、今からでも間に合う負担軽減のポイントまでを分かりやすく解説します。

 

そもそもインボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?

インボイス制度とは、一言でいうと、「一定のルール(登録番号や税率の明記)を満たした請求書でないと、支払った消費税を差し引けなくなる制度」です。

インボイス制度はなぜ導入されたのか?

2019年に軽減税率が導入され、消費税は「8%」と「10%」が混在するようになりました。取引の透明性を高め、正確な消費税額を算出するために、ミスや不正を防ぐ「インボイス」が必要になったのです。

 

「仕入税額控除」がキーワード

事業者は、国に納める消費税を計算する際、「売上で預かった消費税」から「仕入で支払った消費税」を差し引きます。 これを「仕入税額控除」と呼びます。 インボイス制度のもとでは、相手が発行した「適格請求書(インボイス)」を保存していないと、この控除が認められなくなります。

 

インボイス制度の3つの重要なポイント

① 登録した事業者しか「インボイス」を発行できない

適格請求書(インボイス)を発行するには、税務署長に対して「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、「適格請求書発行事業者」の登録を受ける必要があります。登録すると「T+13桁の数字」の登録番号が付与されます。なお、 登録できるのは「課税事業者」のみです。免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けると、その時点から消費税の納税義務が発生します。

インボイス登録していない人へ!今後の登録と負担軽減の方法を解説

 

②請求書の記載事項が厳格化

適格請求書発行事業者は、請求書等に次の事項を記載する必要があります。

①発行者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容
④取引の相手方(受領者)の氏名または名称
⑤適格請求書発行事業者の登録番号
⑥軽減税率の対象品目である旨(「※」印等をつけることにより明記)
⑦税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率
⑧税率ごとに区分して合計した消費税額等

このうち⑤~⑧がインボイス制度の導入後、請求書等に追加しなければならない記載事項です。

なお、小売業、飲食業、タクシー業等の不特定多数の者に対して販売等を行う一定の事業の場には、取引の相手方を都度、記載するのが難しいため、取引の相手方の氏名等を省略した「適格簡易請求書」を発行することができます。

 

③免税事業者等からの仕入れは仕入税額控除できない

適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されると、免税事業者や消費者などの適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについては仕入税額控除することができなくなります。ただし、次のような経過措置が設けられており、一定の期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額控除することができます。

期間 控除可能な割合
2023年10月1日〜2026年9月30日 80%控除可能
2026年10月1日〜2029年9月30日 50%控除可能
2029年10月1日以降 控除不可

 

 

負担を減らすための支援策

これから登録を検討する方への負担軽減や、事務負担に配慮して、いくつかの特例が設けられています。主な特例として次の2つの特例が挙げられます。

2割特例(小規模事業者向け): インボイス登録によって免税事業者から課税事業者になった場合、売上税額の20%を納めるだけで済む特例です(2026年9月を含む申告まで)。

少額特例(事務負担軽減) :売上高1億円以下の事業者は、1万円未満の仕入れであれば、インボイスの保存がなくても帳簿の保存だけで税額控除が可能です。

 

まとめ

インボイス制度の導入により、単に「税金を払う」だけでなく、「正しい形式で書類をやり取り・保存する」という実務の重要性が増しました。

受注側: 取引先からインボイスの登録状況を確認されることが多くなるため、ビジネスチャンスを逃さないための検討が必要です。

発注側: 受け取った請求書に登録番号があるかを必ず確認しなければなりません。